
LimboやINSIDEのリード・ゲームプレイデザイナーが作り上げたことでも話題になった、パズル・アドベンチャー"COCOON"が今回取り扱うMadeWithUnity作品になります。

ローポリながらも雰囲気のある、美麗でスケールの大きいマップを探検しながら謎を解いていくゲームです。主人公はオーブを集めながら、そのオーブを使って様々な空間を飛び回るという三次元パズルゲームとなっています。
移動のためのスティック(あるいはWASDキー)、そして1つのアクションボタンという、とてもシンプルな操作体系になっていますが、それでいながら様々なギミックを楽しめるゲームです。
キーボード操作だと片手で出来るゲームであり、これは昨今のインディーゲームのトレンドにもなっていますね。

何よりグラフィックがとても良いです。おそらくUniversal Render Pipelineによるものだと思うのですが、昨今のUnity製のゲームとして大変良い見本となる作品だと思います。正直、このゲームはプレイヤーとマップ上のオブジェクトのインタラクションはほとんどなく、パズル要素以外にプレイヤーが積極的にマップを歩き回る要素はあまりないのですが、それでも色々と探索したいと思わせてくれるグラフィックと環境デザインになっています。
プレイヤーキャラの大きさに対して大き目なマップを場合によっては行ったり来たりすることになるのですが、移動における苦痛はまったくありません。レスポンスが良くて移動速度も丁度よい感じに素早く、そこらへんも調整されていることがわかります。
自分は6~7時間ほどでクリアしました。とりあえず二週プレイしましたが、慣れたら3時間程度でクリアできるので気軽に遊べるのも良いですね。インディーゲームとしてはまぁまぁの容量だと思いますが、前述した通り世界観も楽しめるゲームとなっているのでリプレイ性は高いのではないでしょうか。RTA(Speed Run)をやるのにも向いたゲームだと思いました。
※ひとつだけ注意点があるのですが、主人公を含め虫や昆虫モチーフの要素がほんの少しだけあるので苦手な人は気をつけてください。一応直接的な虫は出てきませんし、過剰にグロイ敵キャラなどは出てはこないのですが、とあるボス戦で地面がウジ虫みたいな幼虫で埋め尽くされる!なんて表現があったりします。そういうのは2つだけなのですが・・・。Hollow Knightをやった時にも思いましたが、昆虫の造形はデザインの参照としては魅力的ですが、苦手な人もいるので難しいなぁと思います。注意点は以上です!
パズルゲームだけど・・・
とても良く出来たゲームであり、インディゲームとしては傑作と言えるであろう作品だと思います。パズルのギミックも面白いです。

ただし、思っていたよりもアクション性は高いとは思いました。ジャンルとしてはパズル・アドベンチャーというべき作品で、基本的にはマップを探索しながらパズルやギミックを解いて進んでいくというものになっているのですが、たまにアクション性を要求される部分がいくつか出てきます。
アクション性というのはタイミング要素だったり、素早く操作できるか?という操作精度要求がある、ということです。そして、ボス戦があり、これはもう完全にアクションゲームになります。ボス戦は初見だと若干難しく何度か失敗しましたが、失敗によるペナルティは『最初からやり直し』のみです(それが嫌な人もいるでしょうが)
幸いなことにアクションゲーム要素も良く出来ており、自分はとても楽しめました。しかし、アクションが苦手な人や純粋なパズルゲームを期待していた人にとって、この思ったよりはあるアクション要素がどう作用するかは個人的には気になりました。
ゲーム(プレイヤー)のためのビジュアル・デザイン
このゲームの特徴として、広大なマップやそれに伴う環境デザインがあるわけですが、それによってプレイヤーが混乱しないように丁寧にビジュアルデザインがされています。プレイヤーがそれなりに小さいにも関わらず、一画面の中にマップの全体像が収まることがほぼないからです。
もちろん、プレイヤーの移動可能領域をきちんと制限したり、あるポイントごとに的確に通行止めしたりすることで、ゲームプレイ上でプレイヤーが混乱しないようにしていますが、それに加えて視覚的にもプレイヤーの認知負荷を下げるようにきちんとデザインされています。

特に自分が良いなと思ったのはカラーデザイン(色彩設計)です。全体として調和しながらも、プレイヤーにとって重要な部分については画面を見てすぐ分かるような視認性の高いカラーリングが施されています。
はっきり言って、メジャータイトルを含め、きちんと色彩設計が出来ているゲームは現代においてもそこまで多くないです。この作品はローポリ・スタイルではありますが、そこがしっかりしているので決して淡白な画面になっていませんし、見栄えが良くそれでいてプレイフィールも良いゲームになっています。そういう部分でも今後のインディタイトルの見本となるはずです。
このゲームを支配する、ある概念
ネタバレになってしまうので伏せますが、このゲームのパズルを解く上でとても重要な『ある概念』があります。自分はそれを前半で掴めきれず、ある時点で詰みかけてしまいました。気づいてしまえば、良く出来た概念ではあるのですが、それを気づかせる仕組みが若干弱いかもしれない、とは思いました。
しかし、この概念はこのゲームならではのものであり、それを視覚的にもギミック的にも上手く利用しているのが素晴らしいです。
音楽の使い方
このゲームの音楽は基本的にはアンビエント・ミュージックで抽象的なサウンドになっています。具体的に説明されることのない、ミステリアスな世界観を更に引き立てる音楽です。
そして、パズルゲームということなので、それに合った使い方もされています。それはパズルの進行度が上がると、音楽に変化が現れて問題解決に向かっているムードを出す、ということです。
この作品は当ブログでもお馴染みのFMODを使用しており、それによりゲームの進行度に合わせて、音楽をコントロールしているのだろうと思われます。これもアダプティブ・オーディオの活用例のひとつでしょう。
パズル・ゲームの難しさ
しかし、今回"COCOON"をやっていて思ったのはパズルゲームを作るのは難しい、ということです。このゲームはパズルゲームとしてはほぼ弱点はなく、このゲームならではのギミックもきちんとあります。それでも、いくつかあった詰みかけポイントでは自分はやっぱりイライラしてしまいましたし、バグか?なんて思ったこともありました。まぁそういう時は少し休むか寝ると解けたりするわけですが。
ただ、悩んで解決したからこそ得られる感動もあるわけで、パズルゲームはその塩梅が本当に難しいなと思います。

このゲームはテキストを徹底的に排除しており、説明やヒントもありません。プレイヤーに自分で気づかせるという構造はかなりの挑戦です。しかし、パズル要素以外のストレスになりうる部分は徹底的に排除されコントロールされているという部分はこのゲームの素晴らしい所であり、それをやって初めてこのようなパズルゲームが成立するのだろうと思います。
前述した通り、このゲームをプレイする上で理解すべき重要な『ある概念』を気づかせる仕組みが少しだけ弱いかもしれません。しかし、実はヒント自体はちゃんと出てはいますし、難易度設計自体もかなり丁寧にされていて、昨今のインディゲームのレベルの高さを感じさせてくれます。
パズル・アドベンチャーというジャンルを抜きにしても、今後のインディシーンやUnity製のゲームに大きな影響を与える作品のひとつになるはずです。
まとめ

というわけで"COCOON"について書いてみました。インディゲームとしては傑作でしょう。もっと早くやるべきでした!インディゲームでありながらも、素晴らしいクオリティやスケール感を実現させており、自分にとっても目指すべき目標となるゲームのひとつと言えます。面白かったです!