Unityでインディゲームを作る!

Unityでのゲーム制作を目指し、それに関わる話題についてのブログ

Cuphead Unity製の注目インディゲームの初感レビュー!!

いよいよ期待のインディゲーム、Cupheadが発売されました!

 ぶっ続けで3時間ほどプレイし、第一、第二エリアをクリアするかしないかの所までいったので、ひとまずその初感をザックリと書いておきたいと思います。

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以下全ての画像は実際のゲーム画面のスクショです。

いやー、おもしろい!!あと良い意味で難しい! 

 やる前に想定していたゲーム性とは少し違ったデザインでしたが、なぜそうしたかを考察すると、インディだからこその割りきりがあり、そこがプレイ面にも良い影響をあたえていると思いました。そこらへんの考察は後ほど。では順にまとめていきます!

※ゲーム製作者的観点の考察を多く含みます! 

 

どんなゲーム?

ガンシューティング2Dアクションです。主人公であるカップヘッドは悪魔の経営するカジノで魂を賭けたギャンブルに負け、見逃してもらう代わりにカジノへの借金滞納者の魂を回収するように命じられます。(ヘビーだ・・・)

 

 自分はPVを見た感じ、メタルスラッグのようなゲームなのかなー?と思っていました。つまり、ステージを進んでいって、ボスを倒して・・・という構成です。また同じく2Dガンアクションの名作、魂斗羅を思い浮かべた人もいるようです。(実はやったこと無いです、恥ずかしながら。ミニスーファミでやりますぜ!)

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 しかし、実際には通常ステージはあるにせよ、それは決して本筋ではなく、マップ各地に偏在する、ボス(つまり滞納者)を訪ねて直接対決を繰り返していく、という言わば、ボスラッシュ的な構成だったのです。(各ステージに一体なので直後に連続ではありません。が実質的にボス戦が続きます。)

 

 ある意味、予想を裏切られた形ではありますが、しかし、やってみるとその絶妙な難易度で死んで、覚える、そしてボスを打ち負かすという明確かつシンプルな目標と素晴らしい映像、アップテンポなスイングジャズが融合した、かなりの高揚感を味わえるゲームになっています。

  

個性的なゲーム

 まずヴィジュアル、グラフィックから唯一無二の個性を放っていますよね。PVの時点でスゴいな!という印象でしたが、実際やるとさらに良いです。というか、ゲームとしても気が抜けないゲームなので、その映像に気を取られてしまうとクリアできないです。アニメーションに見とれている暇はありません(笑)

 

 1930年代のカトゥーンアニメ調のグラは群を抜いたクオリティです。そこは説明する必要は無いでしょう!問題は、じゃあゲームとしてはどうなのか?ということになります。見た目も大事だけど中身も大事ですから!

 

 インディゲームの場合、どうしても『~っぽい』とか『~の影響うけてるなー』という印象を持つことが良くも悪くも多くあります。繰り返しますが、自分はメタルスラッグっぽい感じなのかな?と想像してました。

 

 しかし、実際のゲームとしてのデザインは、スーパー・マリオブラザーズを初めとした往年の2Dゲームからの影響をもちろん感じさせながらも、Cupheadとしての独自性をきちんと打ち出せている、と感じました。つまりボスを倒すということに重きをおいたゲーム性が、CupHeadらしさを生んでいるのではないか?ということです。

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ドラゴン、そして宙に浮かぶ足場。これはまさしくロックマンのメカドラゴン!

今のところ、一番好きなボスかもしれません。

 

ゲームデザインについて

  いわゆる伝統的な2Dアクションというのは、マリオしかりロックマンしかり、障害物レースのように様々な仕掛け、ザコ敵を避けながら(あるいは倒して)ステージを進み、中ボスを倒していき、各ステージを走破して、最終的にラスボスを倒す、というような構成になっています。つまり、アスレチックを攻略していくようなゲームです。

 

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 しかし、CupHeadというゲームは明らかにボス戦そのものをゲーム体験の主軸においています。Cupheadにはコインがありますが、その数は限られており、通常ステージの中に置かれています。しかし、通常ステージは少なく、1つのエリアにそれぞれ2ステージずつしかありませんでした。(この後のエリアでは増えるかもしれません。)ボス戦ステージの方が数が多いのです。

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  コインは主人公キャラの新たな技を買うために存在しており、それが必要ないのであれば、別に通常ステージをクリアする必要もない、という扱いです。初見プレイでは間違いなく、買っていかないとツライです。チャージショットがお気に入り。(一方、マリオでのコインの扱いは100枚集めれば一機増えるという救済措置的な存在)

 

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  これってなかなか画期的ではないでしょうか?ボスは与えたダメージによって、基本第三段階まで変化します。(上写真はスライムの第二段階)これはよくあるパターンですよね。親切なことにプレイヤーが負けると、どこまで行ったかをリトライ画面で示してくれます。 難しいけど何度も死んで覚えていき、馴れると遅くとも三分以内に倒せる、という短い時間に密度の高いゲーム体験が出来るというデザインになっています。

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 思ったのは、ダークソウルシリーズのような良い意味での死にゲーです。しかし、このゲームには、ダクソにもあった探検要素はほとんどなく、ボス戦の死んで覚えて打開する、という部分を凝縮した、割り切ったゲームであると言えます。

 

 つまり、このゲームは伝統的な2Dアクションではなく、各地に潜む個性豊かなキャラクター達に殴り込みをかけて、その命を奪うという非常にシンプルなゲームです。もちろんボスを倒すのには一筋縄ではいきませんので物足りなさは一切無いです。

 

 あとやりこみ要素がきちんと用意されています。各ステージにはスコアが設定されており、プレイによってFからA(A以上もあるらしいです。)までの成績がもらえます。ただクリアするだけでも大変なのですが、よりやりこみたい人への準備も怠っておりません! 繰り返し遊べる良いゲームだと思います。

 

インディならではの割り切り

  インディゲーム開発というのは、資金面においても、作業人数においても、そう工数を多く取れるものではありません。アニメに関しては、手描きということで手は掛かっているとはいえ、ゲーム全体における一貫したレベルデザインというのは、インディにとって困難な作業です。

 

 なので、ボス戦という通常のゲームであれば、合間の要所にあるモノをゲームのど真ん中に据えることで、レベルデザインの負担を押さえているのではないのかと思います。(おそらくステージ構成よりもボスの攻撃パターンを考えるほうが負担は少ない?)とは言っても、アニメ的演出は各ボスごとに相当凝っているので、手を抜いているというわけではありません。そちらの方を優先した、ということだと思います。

 

  これはリソースの限られたインディならではの割り切りだと思います。しかし、大事なことは、その割り切りがゲーム性そのものにおいても、良い影響を与え、個性を獲得しているということです。

  

Unityやるじゃん!

 間違いなく、Unity製のゲームの中での現時点でのトップクラスの作品に入ると思います。世界観の大切さだけでなく、ゲーム性をも両立させる、という言わばインディにおける最大の課題というものをクリアしているように思えるからです。

 

 もはや、Unityは単に手軽にゲームを作るための汎用ゲームエンジンではなくなりつつあるのではないでしょうか?もちろん、そういう用途でも今後使われるとは思いますが、これだけのゲームが作れるのですから!!

  

間違いなく多くのUnityユーザーの指針となるゲームだと思います!