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ヒットボックス問題から格ゲーの今を考える。スポーツにおける道具とテクノロジーの歴史

 最近、数十年ぶりにまともに格ゲー(ストV)を始めてみたり、ウメハラをはじめとするプロ格ゲーマーの動画をよく見たりしています。

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 Hit BOX問題とは、正確には梅原さんが大会で使おうとしたガフロコンという改造コントローラが禁止になったのですが、そのことを含め、様々なコントローラについての処遇及び、eSportsにおける規定の在り方についての議論です。(注意:ガフロコンはそれまで普通に使われていたし、ヒットボックス自体は現時点では禁止されていません)

 

 結論から言えば、全てはルールや規定、レギュレーションによる、で終わりなのですが、かといって意外と野球を含めたプロスポーツには、暗黙の了解、不文律はあるので、それも含めてまた難しい問題であります。

 選手はルールで禁じられたことはやっちゃ駄目だし、ルールで禁止されたこと以外は理論上なにやってもいい、はずなのです。例えば、野球では盗塁に関するルールは本来なかったはずで、だからこそ、誰かが投手が投げている隙に進塁してしまおうというプレイをして、その結果(多少揉めたろうけど)面白くなるし、盗塁は野球において正当なプレイ、戦略として認められたのだろうと思います。

 

 今回の記事はヒットボックスをキッカケに少しeSportsについて考えてみたい、というのもあったのですが、なにより久々に真面目にやった格ゲーが面白かったし、格ゲーは斜陽ジャンルのようにだいぶ前から言われ続けてますが、意外とそうじゃなくね?また再ブームきたりするんじゃね?と思い書きました。

 

筆者の格ゲー・プロフィール

 まず、ワタクシの格ゲーに対する立ち位置を説明しなければなりません。大会に出たことあるのか、ただ楽しくやってただけなのか、有名ゲーセンに出入りしてたのか、とかいろんな立場がありますからね。

 世代的には格ゲー世代で、『みんな』が格ゲーやっていた時代に少年時代を送っています。上手くはなかったですが、友達とよく駄菓子屋の中にあるゲームコーナーでKOやマヴカプなどをやっていました。スト2は友達の家のスーファミでやるものという感じで、ゲーセンでやったことはほとんど無かったように思います。

 

 普通、中学生ぐらいから本腰をいれて格ゲーをやるようになるもんだと思うんですが(独断と偏見)、ちょうどゲーム以外のものに興味出たので、やるからには強くなりたいけどそれは出来ないし、そもそも格ゲーブームに陰りがでて、『みんな』やらなくなりつつあった時代の流れに負けて、格ゲーを辞めてしまった人間です。

 

 もちろん、その後もギルティなどを友達と遊びで軽くやったりすることはそれなりにあっても、ゲーセンに行ってまでやったりとかはなくなりました。

 

 で、つい最近steamでストVをやっているんですが、正直、出てからだいぶ経っているゲームですが、なんだ格ゲーやっぱ面白いじゃん!と率直に思いました。

 でも、自分は腐っても格ゲー世代の人間なので、これは現在の世間一般の感覚とは違うのでしょうね、ただ、言うほどに終わってはいない、と感じています。

 

ヒットボックスとは?

 そんな自分の格ゲー復帰(大げさな!)のキッカケになったのが、ヒットボックスです。ヒットボックスがすごい良いかも!という動画は見てて、ヒットボックスで格ゲーやってみようかなーとなったのです。

 ただ、ヒットボックスは当然持っていないので、厳密に言えば、現在はキーボード操作でストVを遊んでいます。(近いうちに買えたらいいなー)

 

 ヒットボックスとは、スティックの代わりにボタンで移動操作をするコントローラで、攻撃ボタンは従来のアケコンと変わりありません。なんだかんだスティック信仰がある人間からすると、異質な感じがするのですが、PCゲームが主流になりつつある現在では、実はそうでもないことに気がつきました。

 

 本質的には、ヒットボックスのようなコントローラは、キーボード操作から派生したものです。パソコン・ゲームは、パッドでも操作可能ですが、キーボードでの操作がかなり主流といっていいと思います。

 

 キーボードのWASDキーをそれぞれ上左下右に割り当て、左手で操作。SPACEキーには通常、ジャンプが割り当てられ、左手親指で操作。右手はマウスを操作し、視界操作や攻撃を行います。慣れが必要ではありますが、パッドよりも多くキーがあるキーボードは、多彩な操作があるゲームにおいては特に便利ですし、パソコンでゲームをやる場合には、自然に選択肢に出てくるデバイスです。

  

 例えば、FPS(ファースト・パーソン・シューティング)においてもコントローラについての議論があります。マウスかパッドか、というやつです。個人的には操作の正確さ、スピードや没入度からすれば、間違いなくFPSはマウス操作!

 ただし、ここ数年のFPSはカジュアル化が進んでおり、むしろパッド操作を前提にしているような設計も少なくありません。実際、パッドも慣れればそれなりに細かい操作も出来るし、なにより楽なのでパッドだから駄目ということも最早ないです。

 

 もちろん、競技においてはコントローラの差は問題になります。明らかにマウスの方が強すぎるからです。もちろん、マウス操作自体にそれなりに修練が必要なのですが、同じ程度の練度のプレイヤーなら明らかにマウス操作の方が強いですし、コントローラに対する規定が必須になります。無い場合、勝ちたいのならマウスを選ばなくてはなりません。

 

 スポーツにおける道具

 ヒットボックス騒動についての意見で、特殊な道具を使って強くなるのはズルい、というものが結構見受けられました。

 でも、それはおかしいと思います。イチローのバットを使ったら、ヒットを打てるようになるのか、ウサイン・ボルトのシューズを履いたら彼並にはやく走ることはできるのか。できないでしょう。なのに、ヒットボックスなどがズルいというのはおかしい、少なくともルール上問題ないのなら、セーフなはずです。

 

 そもそもスポーツ自体、道具やテクノロジーの進化を無視できませんし、むしろ密接に関係しています。例えば、野球ボールの飛び具合は反発係数で調整できるので、野球選手の筋肉の増加に伴い、打投のバランスを考えて、随時調整されているようです。飛びすぎたり、飛ばなすぎたりして、悪い意味で話題になることもあったりします。(ホームランでた方が面白いけど、あまりに出すぎるとゲームバランスが壊れるので)

 また、陸上競技も技術の進歩と無関係ではありません。走る、というシンプルなスポーツにおいても、シューズやトラックの素材の影響は大きいです。一流選手であれば、スポンサーのメーカーより特製のシューズを提供されますし、また競争用のトラックは、選手の踏み込みをより前向きのエネルギーに変えられるように改善され続けています。

 

 だから、eSportsにおいても、その時最善であろうものを使えるなら使う、としかい言えないはずです。なぜなら、今書いたように他のあらゆるスポーツもそうしているから。

 

 そして、そもそもヒットボックスは前述の通り、キーボード操作から派生したコントローラに過ぎません。手首より先の人体で操作する、というのは守っていますし、異質なようで、別に今となっては自然に出てきたコントローラのひとつのはずです。

 

 ただし、やはり規定が大事なのは言うまでもありません。明らかにヤバイ道具は規制すべきだし、スポーツでもそれがなされています。水泳の鮫肌スーツとかは即効で禁止されてしまいましたね。少なくとも、ヒットボックスは明らかにバランスを崩すものではないように思いますし、そして、使い手も他のコントローラ同様に技術的コストを支払っているわけですからね。

 

 とはいえ、プロスポーツに最も大事なのは、競技性と興行性のバランスです。このバランスが取れて、面白いものであるならばドンドン取り入れていくべきだと思います。

 

実際、操作性はどうなの?

 まず上で書いたようにヒットボックス自体は所持しておらず、キーボードでの操作でしかも、ヘタクソの意見であることを考慮してください。

 

 ヒットボックスは使いこなせれば、たぶんかなり強いでしょう。ただし、使いこなすのにはかなりの修練が必要なはずです。

ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」というのはAKIRAに出てくる名言の一つですが、まさしくその通りで、理論値はすごくても使いこなすのは難しい、という感じ。

 

 みそからコントローラまでの距離は間違いなく最短だと思います。ホントに指先なのでストロークは短いですし。そして、コマンド入力も慣れさえすれば、実は一番簡単なような気がします。しかし、格ゲーのような、相手が人間で強い緊張が生まれるタイマン・ゲームで正確に操作するのは難しい部分があります。

 例えば、興奮したり、緊張したりすると人間はリキみますが、そうすると指先が動かなくなってしまいます。自分なんかはギューっと指を押し付けちゃいますね、波動拳すら出せなくなったりします。

 『リキんだらダメ!』なのが特に強いコントローラなのかもしれません。脱力こそ、ヒットボックス(キーボード)を使いこなすための秘訣なのでしょう。そう考えると達人っぽくてかっこいいじゃないですか!

 

 という訳で、より熾烈でスピーディで、激しい駆け引きのあるプロの世界で使いこなすのはなおさら難しいことと思います。

 ウメハラは使い始めてから半年もしないで、トッププロ達と戦い、この間の大会でTOP8に入っているので、やっぱそれはすごいことだと思います。特にウメハラFPSとかやらないだろうし、PCゲームに触れてきた人間でもないと思うので、そうしたバックボーンであれだけ対応して成長を続けているというのはやっぱすごい(二回目)。

 

 ただ、繰り返しますが、ヒットボックス自体はまだ所有しておらず、キーボードで仮想的にやっての考えなので、ズレがあるかもしれないことはご了承ください。

 

 競技人口が全て

  仮想ヒットボックスとしてキーボード操作でストVやってみた感想としては、ヒットボックスじゃなくていいから、キーボードでみんな格ゲー始めてみようよ!と思いました。

 レバーでやるのがカッコいい、というのは今でも少しあるのですが、それよりも、この指先の感覚とキャラの動きの連動の瞬発力を楽しむというか、PCゲーマーに格ゲーが広まってくれればいいかなという想いです。

 

 結局、何にせよ、競技人口が全てだと思います。この新たなインターフェイスは間口を広くしてくれるはずです。

 自分のようなエンジョイ勢もこぞって格ゲーをやっていた時代があって、だからこそ、ウメハラを初めとする現代でも活躍するプレイヤーが生まれる土壌があったはずです。そして、格ゲーはもっと楽しいものなはずだし、『みんな』がやっていればコマンドも必死で練習しますしね。そして、慣れれば自分の思い通りに動かせるようになる、最高じゃないですか!