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MadeWithUnity探検隊! 巨大鳥に跨り、空を翔けろ! "Falconeer" レビュー

Falconeer_Title

 壮大な音楽と共に始まる、ローポリながらAAA作品かのような重厚感があふれる素晴らしいオープニングには、素直に興奮しました。

 しかし、それはゲーム開始とともに徐々に冷めることとなります。繰り返しますが、オープニングはとても素晴らしい出来です。予告編が一番面白い映画、とまではいきませんが、その内容はとにかくいろいろと惜しい作品となっています。

 巨大鳥に跨り、空を翔けろ!という半ばヤケクソの記事タイトルからもお理解りいただけるでしょう。

 

 これを書き出した時点で、既に12時間プレイしており、インディーゲームとしてもそれなりの時間を費やしております。本当にダメなゲームであれば、とっくに辞めていたはずです。いろいろと文句、不満点はありますが、それでもプレイを続けてしまう魅力はあるゲームなのだと思います。お金がもったいない、という気持ちだけではさすがに辞めていたくらいには不満はあったので。

 

 7, 8時間プレイした所で、ストレスや嫌気はマックスになりました。辞めようかと思いました。しかし、それでも続けた結果、少し楽しくなっている部分もあるのです。それは、能力の高いファルコンに乗れるようになったり、強い武器を手に入れたりしたから、というのもあるのですが、やはり空を飛ぶというこのゲームの根幹的な部分、飛行感というのがやはり、気持ちの良いものだったからだと思います。

 

 今回のレビューはかなり文句多めです。しかし、顔真っ赤にして怒るほど、このゲームには独自の魅力も芽吹くことのなかった可能性もあったのだ、と思っていただけると幸いです。

 本記事については、かなり個人的なものであり、今後のゲーム作りにおいて、自分へと向けた『戒め』『教訓』として書いた面が強いので、ご了承ください。(書きなぐったら、約5500字にもなってしまいました・・・)

 

良い所

Falconeer_Sea

 まずはグラフィック。モデリング自体は鳥やドラゴンなどの乗り物以外は基本的にローポリゴンですが、ライティングや画面効果によって、とてもゴージャスな雰囲気です。そして、大きくうねる海の表現はダイナミックで世界観により深みを出しています。

 グラフィックと雰囲気については、近年のUnityゲームでもトップクラスかもしれません。ゲーム性は置いておいて。

 

 操作性については、おおよその部分(問題点は後述)は良いと思います。Steamのレビューでは賛否両論あるみたいですが、クセがあるにせよ、操作性については慣れの範囲でなんとかなるし、個人的には慣れると楽しいとすら思えています。

 射撃についても、ロックオン機能があり、ロックオンすると偏差射撃をサポートする表示が出たり、ある程度オートエイムが機能したり、あるいは誘爆性能を持つ武器もあったりするので、そこまで苦ではないはずです。

 あと、小回りなどについては、操縦するファルコンによっても変わる、という部分もあり、なるべく早い段階で良いファルコンに乗り換えたい所です。あと主人公のレベルが上がることで全ファルコンの性能が少しずつ成長するので、そこら辺のRPG的要素も配慮が必要かと思います。

 

 そうした操作性に対して、ファルコンを動かしている操作感あるいは飛行感というのは、かなり良いです。空気の厚みであったり、空気の流れを感じ、画面から風が吹いてくるような感じ、空を自由に飛んでるような感覚はとてもよく表現されているし、それが気持ちいいからこそ、12時間もこのゲームを続けられたのだと思います。

 ファルコンのアニメーションも操作感と良く噛み合っており、きちんと空気の圧を受け、揚力を得て飛んでる感がちゃんと表現されています。そこは本当にこのゲームの良い部分だし、楽しい所です。

 

一番ムカついた所

 じゃあ、マジでムカついている所を言います。一部を除いて操作性に問題は無いと言いました。しかし、その一部分が大問題です。ダッシュとロールを同じボタンにするな!!これは本気でムカついたし、今でもやっててかなりムカつきます。(でも辞められないんだけど!)

 

 3Dシューティングと言えば、ロールでの回避運動は定番です。しかし、ダッシュと同じボタンにしているために、ロールがとにかく暴発します。どんな判断ですか?

 Lボタンに振り分けられているのですが、Lボタンを押してから移動スティックを倒すと、ロールが発動します。問題は、このロールのためのスティック操作の受付時間がかなり長く、一秒以上待ってから倒さないとロールが暴発してしまうし、その上、ロールモードのような状態に入り、Lボタンを離さない限り、スティックを倒すととにかくロールしまくるという状態になります。

 アホか、と。ダッシュあるいはエンジン・ブーストとロールを同じボタンにしてるゲームってありますか?同じボタンにする必要ありますか?

 

悪い所、その1

 残念ながら、たくさんあります。お前ちゃんとプレイしたんか?それでいいんか?と問いただしたくなる部分はいくらでも出てきます。

 

 グラが良いと言いましたが、視覚的な良さや雰囲気を重視した結果、ゲームプレイに悪影響をもたらす、という洋ゲーやインディにありがちのいつものヤツが発生しております。

 

Falconeer_NightSea

夜の海面が暗すぎる!

 具体的には夜になると、かなり視界が悪いです。雰囲気を重視するために、視覚的な補助機能さえも入れたくない、というのも分かるのですが、海に落ちたアイテムがどこにあるか分からなかったり、海面にいる魚(回復アイテム)も何も見えません。これは本当にムカつきます。夜の海は怖い、それを表現したいのだろうし、それは良いんですけど、ゲームプレイに関わる部分はなんとかしないと。

 

Falconeer_TooClouds

 そして、飛行中の大気の存在感を高めるのに一役かっている霧や雲、これがあまりに多すぎるため、前方の視界がとにかく悪い。状況にもよるのですが、上の画像なんかは前面すべてが霧で何がなにやら。

 

 雲の中を通り抜けながら飛んでいく、というのは楽しい部分ではあるのですが、あまりに多いので、ゲーム性が微妙になります。ただし、空中戦で雲や霧に隠れながら戦うのを再現する、という狙いもありそうなので、なんともいえないですが、とは言え、道中に雲と霧が多すぎです。

 

Falconeer_CloudsAndSky

このくらいの雲の量ならいいですけども

 自由に飛び回ってても結局見えるの霧ばっかじゃん、ってなると残念でしかありません。まぁ雲が無ければないでほとんどが海面になってしまうのかもですが。

 

悪い所、その2

 また視認性の問題ですが、スプリンターという倒した敵から回収できる、金銭的アイテムがあるのですが、これが無駄に小さいです。あまり光らないため見にくいし、海面の下に潜って隠れることもあります。敵を倒したらこれを回収できる、ということに気づくまで数時間かかったくらいには分かりにくかったです。お金稼ぎが重要なゲームなので、これはちょっと不親切過ぎました。夜の海だとほとんど見えません。もっと大きくして、ビカビカ光らせろ!

 

 あとストーリーが無駄に重いというか、複数勢力間に繰り広げられる政治劇。別に結果として、おつかいゲーになったとしても、それはそれでいいんですよ。空を飛ぶアクションゲーとして、楽しければ。

 開放的な空を自由に飛ぶ、でいいはずなのに、メインストーリーは人間同士の醜い駆け引きの連続・・・。三つの勢力による政治闘争、そういうのはAAA作品に任せればいいんじゃないですかねぇ。まぁここら辺は個人の好みの範疇でしょう。

 

 細かい部分ですが、マップをよく使うのに、メニューから開かないとダメというのもストレスです。2ステップ必要だし、ロードもほんの一瞬ですがあります。

 一応オープンワールドという性質上、マップとは多くの時間向き合うことになります。進行によって、マップが書き加えられたり、ロケーションが増えたりもするのですが、そうしたよく使う機能なのに、パッドからワンタッチでマップを開けません。

 えっ?パッド向けにゲームプレイを最適化してるって言いましたよね?セレクトボタンに『マップを開く』を割り当てておいて良くないですか?

 

Falconeer_Port

 一つだけオブジェクト・デザインに関して、文句があります。この世界はファルコンや飛行生物を前提にした文明社会であり、必須かつ重要な存在のはずなのに、各地にある止まり木のデザインがただの矢倉ぐらいしかないこと。

 上の画像を見て、未プレイの方でどこにファルコンが止まれるか分かる人はいないと思います。既プレイでも、あれどこかな?って分からなくなるくらいですから。

 

 ファルコンの重要度はとても高い世界なのだから、デカかったり、特徴的な見た目のものでないと、世界観と帳尻が取れないんですよね。

 そして、単にデザインがダサい、とかならともかく、なにしろ着陸地点が小さく、目立つデザインじゃないので、ゲームプレイ上で問題があって、UIが無いとどこか分からないっていうのが問題。12時間やってても、パっと見全然わからないんですよ。町とから港などのロケーションにおいて、唯一ゲームプレイ的に機能がある場所なんだから、ちゃんと分かりやすくしないと。

 (しかも、ワープするとここに近すぎる場所からリスタートするから、止まりにくいという問題もあったりで、イライラ!)

Falconeer_BirdTree

 左の緑枠の中にある、質素な木製脚立のようなものが、この世界で重要な存在であるはずのファルコンのための止まり木です。こんなのでいいのかと。初めて見た人でも、ああここに止まるんだなって分かるようなデザインにしておくべきだったと思います。

 

 UI消して雰囲気楽しみながら、自由に飛んでね!と言っておきながら、世界観的にも重要なはずの鳥の止まり木の場所が分かりにくいっていうのはありえないわけで。

 UI無くても分かるようなデザインにしろよ!と。他の建物はジェネリックなデザインでいいけど、そこだけは手を抜くなよと。

 

Falconeer_Updaraft

こんなの誰が見えるんですか?

 上昇気流がとにかく小さく、見えずらい。このゲームはエネルギーというパラメータがあり、ダッシュするにはエネルギーが必要で、つまりスタミナです。初期段階ではかなり少なく、すぐに切れるし、品種によっては更に低かったりします。そして、レベルを上げることでしかスタミナを強化できません。

 だから、この上昇気流に乗ることでエネルギーを回復することが重要だし、その際の加速がとても気持ちよいのですが、上画像見れば分かると思いますが、とにかく分かりにくい。夜の海面で、雲多いという状況があるにせよ、とにかく分からない。

Falconeer_UpDraft02

昼でも見えにくかったり

 上画像も角度が悪かったり、タイミングが悪かったりもするかもしれませんが、明るい昼においてもその視認性は決して良いものではありません。

 

 そして、ランダム発生なのでしょうが、この発生率もかなり少ないです。遠い目的地まで、上手く上昇気流を乗り継いで、気持ちよく長距離移動!というゲーム性もないという始末。

 もっと上の方まで高くまで伸びてるべきだし、見た目ももっとトゥーン調の塗りつぶした、見易いものにして、遠くからでも見つけられるようにすべきでしたね。 そして、上昇気流に乗った後のスタミナ無限時間はもう少し長くても良かったと思います。

 

 実は戦闘時はともかく、スタミナを上手く回復しつつ、延々とダッシュするテクニックがあるのです。ダッシュ時であっても、すこしでも下降するとスタミナが回復することを利用して、うまく上昇下降を繰り返しながら飛ぶ、というのですが、かなり、繊細なレバー操作が必要ですし、面倒と言えばめんどう。なので、海面上にある上昇気流に乗ってスタミナ回復して、気持ちよく飛びたいわけです。

 

 はぁ?!となりますよね。また、上空にジェット気流があり、これに乗れるとスピードが上がり、とても気持ちよく移動できる、と言いたい所なのですが、あまりに上空にあるため、性能の低いファルコンだと、上空に行くまで一苦労だし、そして、ジェット気流に乗った所で、ファルコンがその流れに固定されるわけではないので、入った角度によってはかなり不格好な姿勢で押し流される、ということもありますし、ジェット気流の中でもちゃんと操作しないとダメなのです。

 いやいやジェット気流に乗ったら、せめて半自動操縦になって、最後まで綺麗にスピードアップして進めばいいでしょ?と思いました。

 

まとめ

Falconeer_Flying

 別にゲーム性が薄かろうが古かろうが、ボリュームが少ないとか、マップ上がスカスカだの、撃ち合いが結局ケツ取りゲー、無駄に重いストーリーとかは、最終的には別にどうでもいいんですよね。

 ただ単純にこのゲームはとにかく飛ぶのが気持ちよくあればいいわけで、自由に飛び回った時に気持ちよくて、そこにちょっとした遊びになる要素があればそれでいいはずなんですよ。

 

 単純な飛行感は良かっただけに、その気持ちよさを増幅させる仕組みが足りなかったというか、飛行周りのシステムの詰めが甘いのは残念です。最悪、ゲーム性が薄かったとしても、そこはちゃんとしてほしかったなぁと。特にターンとダッシュを同じボタンにしたのは、まじで納得できません。

 

 最後になりますが、本当に惜しいゲームだと思います。グラフィックや世界観、音楽はクオリティが高いです。別にモデルがローポリであっても、ライティングやポストエフェクト次第で、ここまでの雰囲気は出せるのだなと思いました。