URP(Universal Render Pipeline)をより高度に使いこなすための12個のレシピをまとめたe-bookが、今回取り上げる"The Universal Render Pipeline : CookBook Recipes for Shader and Visual Effects"です。
中級者から上級者までの一定以上のUnity経験を持つ人が対象であり、基本的な機能の説明も含むにしろ、応用的な内容を多く含みます。しかし、間違いなく実践に使える、ヴィジュアルを確実に向上させるテクニックが記載された一冊となっています。
著者による公式サンプルプロジェクトがGitHubで公開されており、本e-bookはこれを土台にして各テクニックについて解説していくという形式です。なので、詳細はサンプルプロジェクトを直接確認する必要があります。
個人的にはまだついていけてない内容もあるのですが、この本をきっかけによりハイレベルなテクニックに触れることが出来たのが良かったです。
各テクニックについて
ステンシル(Renderer Feature)、インスタンシング、トゥーンレンダリングおよびアウトライン、アンビエント・オクルージョン、デカール、ウォーターシェーダー(シェーダグラフ)、LUT(カラー・シェーディング)、Lighting、影描画、Light Probe、スクリーン・スペース・リフラクション、ボリューメトリック(シェーダーで雲を作る)
というのが、この本で解説されるテクニックの全てです。対象は中級者以上ということですが、人によっては既に知っている内容が多くあるかもしれません。デカールの章なんかは単純に新機能の紹介、という感じです。
Unity公式から過去に公開されたテクニックの再収録もあります。例えば、ボリューメトリックの章における雲シェーダーは動画が既に公開されていますし、他の章もなんらかの形で公開されているはずです。
とは言え、今回はそうしたテクニックを一冊の本としてひとまとめにしたことに価値があると思うので、自分の気になった部分や知らなかった情報だけを読む、で全然良いと思います。各章はそれぞれ独立しており、互いに参照しあってるということもありません。
サンプル・プロジェクトについて
2023年9月上旬にMITライセンスが追加され、その範疇で自由に使えるようになったようです。これは活用しない手は無いと思います。
トゥーン・レンダリング及びアウトライン・シェーダーのサンプルに関してだけは不満がありますが、それ以外は色々触ってるだけでも勉強になり、そこまで複雑なプロジェクトではないので扱いもしやすいです。
感想
この本については直接的かつ具体的なテクニックをまとめたモノであり、それに対応したサンプルプロジェクトも公開されているので、それを自分で触って確かめることが大事だと思います。なので、感想を挟む余地はあまりないのですが少し書きます。
まずは、だいぶURPも仕上がってきたな、という点。この本で作られているシェーダーはシェーダーグラフを使って作られているし、基本的な機能でも十分なグラフィックス・クオリティが出せるということをこの本で証明していますよね。(HLSLをCustom Functionノードに書き込んでたりはしてますが)
URPは将来的に既存のビルトイン・レンダーパイプラインと置き換わる予定なので、単純にその機能や性能が向上していることは嬉しいし、期待はどんどん高まります。
現状、この本に含まれている内容で理解が追いついていない分野があったので、そこを確認でき今後の課題に出来たのも収穫でした。プログラマーとしての更なるレベルアップを目指すうえで指針を示してくれる一冊だと思います。
というわけで、今回はUniversal Render Pipeline CookBookについての感想を書きました。Unityさんには今後とも価値あるe-bookをどんどん発行して頂きたいです。