今回のMadeWithUnity探検隊は"Unpacking"のレビュー及び感想です。昨年に出たゲームで話題にもなった作品ですが、ようやくプレイすることが出来ました。
クリック操作のシンプルなアドベンチャーゲームで、プレイ時間自体はかなり短く4時間ちょっとでクリアしたのですが、良く出来たカジュアルゲームでした。これはインディゲームとして95点あげてもいいんじゃないでしょうか。
いわゆる『引っ越し』というのは新しい生活の始まりであったり、人生の岐路となるイベントです。このゲームの主人公である、とある女性のこれまでの人生の節目にあった引っ越し後の『荷ほどき』を行うのがこのゲームの趣旨となっています。
ゲーム性について
つまり、このゲームは新しい住居、部屋に山積みされた段ボールから荷物を取り出し、あるべき場所に並べていくだけのゲームなんですが、これがすごい面白かった!
各オブジェクトは置かれるべき場所が決められており、全てのモノがあるべき所に置かれたらステージクリアとなります。
本当に荷ほどきだけだったら、ただの作業になってしまいますが、このモノがあるべき場所はどこかを判断するという部分でパズルゲームにもなっていますし、置き方にある程度の自由度があるので、如何に美しく部屋をコーディネイトできるのか、という遊び方も出来ます。
現実世界での整理整頓などは面倒で労力のいる作業ですが、クリックだけで手軽に出来るとなるとこんなにも楽しいのか、と思いました。汚い状態がキレイになっていくことにカタルシスを覚えます。
モノを美しく並べたら、ゲーム内で写真を撮ることが可能です。数種類のフレームと画面効果で彩られた、思い出の一枚を。
主人公の子ども時代から始まり、大人になってからの人生のある時、ある場所を追いかけていきながらゲームは進んでいきます。
最初は一部屋だけですし、モノも少ないので悩むことは余りないと思います。しかし、年月を経るごとにモノが多くなり、部屋も多くなっていくことでパズル性が増えていきます。それが一体何なのか、の具体的な説明はないので、プレイヤーは見た目で判断し、そしてどの部屋のどこに置くべきかを考えなければいけません。
操作自体はクリックなので非常にシンプルで簡単ですが、カジュアルゲームとしてとにかく良く出来てると思いました。
卓越したストーリーテリング
このゲームで素晴らしいと思ったのは、テキストと説明を出来る限り排している所です。最初にアイコンによる簡単な操作説明があり、あとは遷移画面で少しテキストがあるくらいで、ゲーム中においてはテキストは一切出てきません。
そして、Unpackingはテキストを使わずにストーリーを物語っています。このゲームは前述したように主人公の人生のある一場面、引っ越しを順に追いかけていくのですが、やっていることはほぼ同じなのに、状況やモノが変わったりすることで、プレイヤーはその背景であるとか主人公に何があったかを想像できるようになっています。
主人公の状態、人間関係、様々な変化が察せられるように出来ており、自分はそこにただただ関心しました。
荷ほどきしていくだけのゲームなのに、こんな感情豊かでストーリー性に溢れたゲームとして作られているのが驚きです。単純にクリックアドベンチャーとして面白いのですが、それだけではない、凝ったストーリーテリングによって、ゲームに深みが出ています。
まとめ
というわけで、Unpackingについてのレビュー、感想でした。正直、やること自体はずっと同じで、ステージを進むごとにリニアにモノや部屋が増えていく感じなので、終盤になると若干飽きてはくるのですが、ちょうどその頃にはゲームは終わります。短いですが、満足度の高いゲームでした。
クリック方式のアドベンチャーゲームをちゃんとやるのはかなり久々でしたが、やはりちゃんと作られていれば、どんなに使い古された形式のゲームも面白いですね。まさにMadeWithUnityとして、きちんと誇れる作品でした!